湖の風が整える、静かな華やかさ。フロレンシア農園ゲイシャの上品な甘み

湖の風が整える、静かな華やかさ。フロレンシア農園ゲイシャの上品な甘み

湖の風が整える、静かな華やかさ

グアテマラのゲイシャというと、ジャスミンのような香りや紅茶を思わせる余韻を期待する方が多いと思います。けれど、華やかさだけが前に出ると、どこか“特別な日専用”になってしまう。

フロレンシア農園のゲイシャは、その一歩手前で踏みとどまります。香りは上品に伸びるのに、甘みがきちんと芯になっていて、日常のカップにも自然に収まる。そのバランスが、この銘柄のいちばんの魅力です。

湖を見下ろす丘の上で育つコーヒー

舞台はグアテマラのアマティトラン。首都グアテマラシティから東へ約40km、アマティトラン湖を見下ろす高地にラ・フロレンシア農園はあります。標高は約1,600m。

湖からの風がつくる微気候と、ミネラルを多く含む火山性土壌。さらに、アボカドやマカダミアナッツ、インガといったシェードツリーの下でゆっくり成熟する環境が、香りの華やかさを“澄んだ甘さ”へとまとめていきます。

六代続く農園が積み重ねた確かな仕事

フロレンシア農園は19世紀初頭に開園した歴史ある農園で、現在は6代目のヘラルド・フローレス氏が運営しています。グアテマラのカップ・オブ・エクセレンス(COE)では2008年、2009年に二年連続で入賞した実績もある、名門のひとつです。

「良い豆をつくること」だけでなく、環境や地域との関係にも責任を持つ。農園に暮らし、世代を超えて働く人々がいるという背景は、品質を“偶然の当たり年”にしない力になっています。

ゲイシャを、透明感のある甘さへ

品種はゲイシャ。プロセスはウォッシュド(フリーウォッシュド)。この組み合わせは、香りの華やかさを際立たせながら、後味をクリーンに整える方向に働きます。

カップでは、レモンのような柑橘の酸がすっと立ち上がり、サトウキビシロップのようなまろやかな甘みが続き、最後にアーモンドの香ばしさが静かに残ります。派手な主張よりも、飲み進めるほど「整っている」と感じられるタイプです。

※私たち(エレガント珈琲)の味覚指標という独自の目安で見ると、苦味0.5|酸味1|コク1|甘み3。苦味は控えめで、酸は明るく、甘みが余韻まで続くバランスです。

“華やかさを日常に降ろす”ための焙煎

この豆は、香りの第一印象が強いぶん、焙煎で少しでも押し出しすぎると「特別すぎる味」になってしまいます。

そこでハイローストでは、ゲイシャの華やかさを残しつつ、甘さと酸味が同じ方向を向くように火入れしました。ゲイシャとしては小粒ですが、香りだけで終わらず、果実感と甘さがきれいにまとまる——その“まとまり感のある上品さ”が、この銘柄の良さだと感じています。

店主のひとこと:温度が落ちる時間を、味方に

一口目の香りを急いで追いかけず、少し温度が落ちてからもう一度。甘みの輪郭がすっと前に出て、アーモンドの香ばしさもきれいに重なってきます。ゆっくり飲める日にこそ、真価が出るゲイシャです。

最後に

特別な豆は、特別な日だけのものになりがちです。でも、フロレンシアのゲイシャは「日常の中に、静かな特別」をつくれるタイプ。華やかさと落ち着き、その両方が欲しい日にちょうどいい一杯です。

在庫のあるうちに、ぜひ一度お試しください。

商品ページ:https://elegantcoffee.jp/products/specialty-guatemala-florencia-geisha

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