喫茶文化を支える職人技 - エレガント珈琲が紡ぐ半世紀の珈琲物語

喫茶文化を支える職人技 - エレガント珈琲が紡ぐ半世紀の珈琲物語

――本日は株式会社エレガント珈琲の木村様にお話を伺います。エレガント珈琲の歴史から、創業当時の珈琲事情、そして看板商品「マイルドブレンド」についてお聞きしていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

木村:よろしくお願いいたします。

――まず、エレガント珈琲の創業についてお聞かせください。

木村:エレガント珈琲は、昭和49年(1974年)に個人商店としてスタートしました。創業者である私の父は、18歳の頃から麹町の喫茶店で焙煎士として腕を磨き始めたんです。その後、仲間と共に珈琲焙煎所を立ち上げ、さらに技術を磨いていきました。

――創業当時のエピソードなどはありますか?

木村:ええ、面白いエピソードがあります。父が以前勤めていた会社から独立する際、「木村さんの焼く豆じゃないとだめなんだ」と言って、指名買いしてくださるお客様がいたんです。当時は焙煎士に固定客がつくような時代でした。そういったお客様の支持があって、昭和51年(1976年)に正式に会社登記を行い、エレガント珈琲として本格的な事業展開を始めることができました。

――創業当時の珈琲や喫茶店の様子はどのようなものだったのでしょうか?

木村:当時の喫茶店では、ストレートコーヒーを仕入れて店舗で独自にブレンドするのが一般的でした。例えば、ブラジル、コロンビア、モカ、キリマンジャロなどの豆をストレートで仕入れて、喫茶店のオーナーや従業員が自分たちで配合を決めてブレンドしていたんです。

――そんな中で、エレガント珈琲はどのようなアプローチを取られたのでしょうか?

木村:私たちは、豆と焙煎のプロフェッショナルとして、あらかじめ完璧なバランスでブレンドした豆を提供するという革新的なアプローチを取りました。これが、後の「マイルドブレンド」誕生につながっていくんです。

――では、その「マイルドブレンド」について詳しくお聞かせください。

木村:「マイルドブレンド」は、エレガント珈琲の創業時から存在する看板商品の一つです。このブレンドは、ネルドリップやペーパードリップに最適化された、昭和の喫茶店の味を再現した珠玉の一品なんです。

――どのようなきっかけで生まれたのでしょうか?

木村:お客様からの要望に応えて生まれました。最初は「アフターミックス」と呼ばれる方法で、焙煎したストレートの豆を、まるで調味料のように割合を決めて混ぜ合わせて作っていました。これが「マイルドブレンド」の原型となったんです。

――「マイルドブレンド」の特徴を教えていただけますか?

木村:「マイルドブレンド」は、柔らかい酸味としっかりとしたコクが特徴です。さらっと飲めて、何杯でも飲みたくなるような味わいを目指しました。当時は奥様方のおしゃべりも仕事の打ち合わせも喫茶店が利用される時代。ですから、お客様に長く滞在していただき、たくさんコーヒーを飲んでもらうことが重要だったんです。そのため、飲みやすさを重視しました。

――なるほど。現代でも通用する考え方ですね。

木村:そうですね。今でも、オフィスワーカーの方々など、1日に何杯も飲む人にとっては、軽やかで飲みやすいコーヒーの需要は高いんです。「マイルドブレンド」は、まさにそういったニーズに応える商品なんです。

――最後に、エレガント珈琲のこだわりや技術についてお聞かせください。

木村:私たちの強みは、コーヒーの「出来」がシーズンによって変化することを理解し、それを踏まえた「味の構築」ができる点です。農作物であるコーヒー豆は、年によって味わいが変わります。先代から培ってきた知見と技術で、常に一定の品質と味わいを提供できるよう、細やかな調整を行っています。

また、半熱風式焙煎機を使用することで、豆の個性を最大限に引き出す焙煎を実現しています。これにより、豆本来の風味を損なうことなく、エレガント珈琲独自の味わいを生み出すことができるんです。

――長年培ってきた技術と、時代のニーズに合わせた柔軟な対応が、エレガント珈琲の強みなんですね。本日は貴重なお話をありがとうございました。

木村:ありがとうございました。これからも、日本のコーヒー文化に貢献できるよう、努力を重ねていきたいと思います。

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